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繭糸の不思議
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繭糸の構造・成分 |
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一粒の繭から得られる糸は、長さがなんと1.2~1.5km、太さは2.6~3.2デニール。天然繊維の中で最も長く細いものです。(デニールとは糸の太さを表わす単位で、数字が大きくなればなるほど太くなります。)繭糸は2本のフィブロインという繊維がニカワ質のセリシンに包まれた構造になっています。セリシンは熱やアルカリによって、やわらかく膨らんだり溶解したりする性質があります。この特性を利用してさまざまな質感の絹製品が生み出されています。
1本のフィブロインは100本ものフィブロリルの束からなっており、1本のフィブロリルはさらに無数のミクロフィブロリルの束からなるという際限のない繊維の束なのです。これら無数の繊維の隙間に空気がたまるため。絹や真綿は保温性に優れ、同時に通気性を高めているのです。さらにフィブロインは18種類ものアミノ酸からなるたんぱく質でできていて、それは人間の皮膚にとって必要不可欠な成分でもあります。水と結合しやすい原子団をもっているため、汗として発散する水分をすばやく吸収し、放湿するというすばらしい特性があります。
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床ずれや皮膚炎を予防 |
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絹には優れた吸湿性・放湿性があるため、床ずれや皮膚病によって染み出るリンパ液をきれいに吸い取り、すばやく蒸発。皮膚がむれることはありませんし、患部の清潔さが保たれるため、治りを早めるのでしょう。 |
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紫外線を防止 |
皮膚の老化を促進し、皮膚ガンを誘発されるといわれる紫外線。絹の成分であるたんぱく質は、この紫外線を吸収するという作用があります。 |
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美容に、老化防止に効果的 |
絹に含まれるアミノ酸には、皮膚細胞を活性化させる作用、吸湿性・放湿性に優れている点、紫外線を吸収する作用があることなどから、早くから化粧品や肌を保護する保健衛生的商品に実用化されています。また、アミノ酸のひとつであるチロシンという物質は、痴呆症を予防する効果があるといわれています。 |
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可能性を秘めた、古くて新しい素材 |
絹は肌にやさしいということは昔から言われています。繭糸の成分が人間に必要なたんぱく質であることから、人間の組織や細胞になじみがよく、近年になって医療や美容への応用も進められています。繭糸は今日まで主に衣料分野で発展してきましたが、今後はバイオテクノロジーなどの先端科学によって、新しい利用方法が開拓される可能性を秘めた、古くて新しい素材なのです。 |
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